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こんにちは、BSR3の大友を見た瞬間
おまえベルセルクにいるだろ
と思ってしまったとりやです。

あっAPH買いました!!
りとぽ!りとぽ!!お休みの日おちついたらリトポかきたいです!
あと別の漫画ですが三郎坊ちょうかわいい!かわいい!!!!

続きから、先日の高虎キャッキャウフフオフ会にて盛り上がった晩年高虎の直高SSです。
漫画じゃなくて文にするべきネタだと思ってこんなことに。



俺は目が見えない。
調子の良い日は薄ぼんやりと光の有無だけは分かるが、その頻度もだいぶ減った。
なのにそんな老いぼれが何故いつまでも登城しているのかというと、足が遠退きはじめた俺のために城の廊下を真っ直ぐにするだなんて馬鹿なことを将軍様が言い始めたからだ。
そんな勿体ないことに金を使っては先代や先々代に申し訳がたたない。仕方なく病の体を押して連日城に上がっていた。

小姓に手を引かれ、歩き慣れた廊下を進んでいると急に名前を呼ばれた。顔を上げて気配を探れば、前方からどっしりした足音が近づいてきて、おひさしゅうござると若い声がする。よく知っている声だ。
「これから上様のところへ?」
「ああ」
「ならば、俺が案内いたしましょう。そちは下がって良いぞ」
今まで左手を添えていた小さな手がどいて、大きくごつごつした手が現れた。この御仁のことだ。太平の世の中にあっても生真面目に武芸に励んでいるのだろう。その手は、歴戦の戦士を思わせた。
「御手を煩わせることはできぬ」
「俺がしたいと思うておるのです」
実は、と急に俺の耳元に口を寄せて囁いてきた。
「上様の機嫌を少々損ねてしまいましてな。今日はお会いしてくれませなんだ。しかしまあ、こうして」
くいと手の平を持ち上げる。触れた掌が熱い。
「お気に入りのお方のご案内した口実を付ければ、無下には追い返されますまい」
「俺にダシになれと」
「いやいや!そんなつもりでは!」
たいそう慌てた口ぶり。その顔が光を失った眼の裏に鮮明に浮かび上がる。
―――いや、違うな。これは……
「どうなさった?」
不安げな声が落ちて来る。
小さく首を振って参りましょうと声を上げた。
言えるはずもない。そなたの父を思い出していたなど。
「足元にお気を付けて」
囁くような声はあの男そのものだった。顔はそこまで似ていないから以前は気にかけていなかったが、めくらになって声が瓜二つだと初めて気がついた。そして、今手を握っている体温も。こちらを焼かんばかりに熱い指のことはよく覚えている。すべてもういないあの男に繋がっていく。
「危ない!」
ぼんやりしていて、いつもは避ける小さな段差に足を引っ掛けて体を崩した。すかさず熱い腕に抱き留められる。
「大事はありませぬか」
咄嗟に掴んだ着物の袖を放せない。動かないでいると、ますます声に不安の比重が増してゆく。
「…もう少し……」
「は、はい」
「もう少しこのままで……」
後で眩暈がしたとでも言ってやろう。ただ、この時だけはこの熱さを感じていたかった。

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